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はじめに:ルカが描く二人の女性と救いの夜明け
待降節(アドベント)第4主日を迎えました。クリスマスはいよいよ目前です。本日の聖書箇所は、福音書記者ルカだけが記している、ある感動的な出会いの場面です。ルカは、女性や弱者に注がれる神の繊細な愛を描くことを特徴としていますが、ここで彼は、救い主の誕生という歴史的出来事の幕開けに、二人の女性を登場させます。一人はマリアで、主イエスの母となる女性です。彼女は天使から受胎告知を受け、処女でありながら救い主を身ごもるという、常識を超えた神の言葉を受け入れました。もう一人はエリサベトで、マリアの親戚であり、洗礼者ヨハネの母となる人です。彼女は祭司の妻でしたが、高齢で長く不妊の苦しみの中にありました。しかし神の奇跡によって、今、その胎内に子を宿しています。マリアは天使の言葉を聞き、急いで山里のエリサベトを訪ねます。この「聖母訪問」と呼ばれる出来事から、神の救いがどのように始まるのかをご一緒に見ていきたいと思います。
信じた人の幸い:聖霊による共鳴
マリアが挨拶すると、エリサベトの胎内で子が激しく踊りました。聖霊に満たされたエリサベトは叫びます。「主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた方は、なんと幸いでしょう」(45節)。エリサベトは、マリアの状況(処女懐胎)がいかに困難で不安なものであるかを知りつつ、それでも神の言葉にしがみついたマリアの信仰を「幸い」と呼びました。ここでの「幸い」とは、悩みがないことではありません。神の語られた約束は、人間の常識では不可能に見えても必ず実現すると信じ、受け入れることこそが、ルカが伝える真の幸いです。
マグニフィカト:身分の低い者に注がれるまなざし
エリサベトの祝福に応えて、マリアは「マグニフィカト」と呼ばれる賛美の歌を歌います(46-55節)。「わたしの魂は主をあがめ...身分の低い、この主のはしためにも目を留めてくださったからです」(47-48節)。ここでマリアが言う「身分の低い」とは、社会的な地位が低く、無力で、取るに足りない存在であることを指します。神のまなざしは、立派で力ある者ではなく、自分自身の無力さや低さという「現実」の中にうずくまっている者にこそ注がれるのです。マリアの歌は、神による「大逆転」を告げます。「思い上がる者を打ち散らし、権力ある者をその座から引き降ろし、身分の低い者を高く上げ」(51-52節)。神の国では、人間の力関係や価値観が根底から覆され、弱さの中にこそ神の力が働きます。
約束を忘れない神
マリアの賛歌は、最後に「アブラハムとその子孫」への約束に触れます(55節)。この救いの出来事は、突発的なものではありません。アブラハム以来、神が選び、導いてこられた民に対する、神の誠実な約束の成就なのです。ルカは、マリアとエリサベトという二人の女性を通して、神が決して約束をお忘れにならず、歴史の片隅にいるような「身分の低い者」を用いて、偉大な救いの御業を成し遂げられることを証明しています。
結論
私たちもまた、神の御前では罪や弱さを抱えた「身分の低い者」に過ぎません。しかし、神はそのような私たちに目を留め、イエス・キリストを通して「あなたは私の愛する子だ」と高く引き上げてくださいます。クリスマスを目前にした今日、私たちもマリアと共に、この神の憐れみを魂の底から喜び、主の約束は必ず成ると信じて、主をあがめる歌を歌いましょう。
祈り
憐れみ深い天の父なる神様。御子の降誕を待ち望むこの時、マリアとエリサベトの出会いを通して、あなたの深い愛を示してくださり感謝いたします。あなたは、身分の低い私たちにも目を留め、顧みてくださる方です。どうか、私たちの心のおごりを砕き、ただあなたの恵みによって生かされていることを喜ぶ、謙虚な魂をお与えください。私たちが置かれた場所で、あなたの約束を信じ抜き、あなたをあがめることができますように。主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン。