「人間愛からキリスト愛へ」
パウロは、人間愛に絶望してロマ書を書いた。彼は熱心なユダヤ教徒の迫害者であったが、それがキリストとの出会いで方向転換してから、殉教を覚悟で宣教する者に変わった。しかしエルサレム教会は彼を誤解し、そのため彼は孤立させられた。彼はその誤解を甘んじて受け、アラビヤに三年、故郷に十...
「愛は偏らず、罪を赦す」
ルカ福音書に書かれたキリストの姿は、民族、地位、性、年齢、貧富、罪悪を超越しており、他の福音書よりも一層意義深く、彩り豊かな景色が描かれている。著者のルカは世界主義者であった。それは、異邦人伝道を推進し、世界伝道に突進したパウロの弟子であったゆえにその感化をうけたことによる...
「平凡の中の非凡の発見」
マルコ福音書を読むと単純で、あまりに簡潔であまりに平凡な書に失望すら覚えなくもない。マタイ福音書なら有名な『山上の垂訓』があるし、ルカ福音書なら善きサマリヤ人の話とか放蕩息子の話とか、徴税人ザアカイの話がある。どれも魅力的な話であり飽きさせない。しかしマルコ福音書にはそうい...
「イザヤ書と救い主イエス」
ユダヤ北朝の滅亡に亡国の再興を祈った預言者イザヤは、バビロン捕囚の中から新時代の霊性を予測した。彼の務めは、紀元前760年に始まり、60年以上も続き、四代の王に仕え、歴史は、彼が鋸で二つに切断されるという残酷な方法で殉教したと伝えている(ヘブル11・37)。紀元前722年、...
「憐れみは裁きに打ち勝つ」
神は将来、信徒に対しても裁きの座において義にしたがって裁かれ、懲らしめるが、同じように憐れみを注がれる場合もある。もし他の人たちを赦そうとしないなら、また自分の正しさを主張するあまり、他の人の欠点や弱さに寛大な心を持たないなら、主はかの日に義によって対処するが、もし他の人を...